琥珀の宝(クリギム)
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、トレセン学園の生徒たちはそれぞれ教室に戻っていく。図書館を後にしたシンボリクリスエスもそのひとりだ。借りた本を抱えて廊下を歩いている。次の授業ではレース展開についてのレポートを書くことになっている。そ…
ウマ娘
バージンブリーズ、遠く隔てても(ギムウオ)
グレープフルーツジュース。 クランベリージュース。 そのふたつを容器に入れる。 さてここで、さらにウォッカを加えたのならば、シーブリーズと呼ばれるカクテルとなる。加えないのであれば、バージンブリーズと呼ばれるノンアルコールカクテルとなる。…
ウマ娘
王たる道を駆ける彼女たちへ(タニノギムレットとモブウマ娘とウオッカ)
彼女を知ったのは偶然だった。 久々に走ろうかと思って訪れたグラウンドで、彼女は走っていた。しなやかな体躯に反してその走りは豪快そのもの。前を走る併走相手に追いつき、差を縮め、かわしていく。あまりにも力強い走りに、つい見惚れてしまった。 ウ…
ウマ娘
そののちブザムカレッサー(クリギム)
おいていくのは、いつだって。 おいていかれるのは、いつだって。(妙な夢を見た気がする) 部屋は暗い。ライトをつけて時刻を確認するとまだ夜中の一時だった。夜明けまではずいぶんと遠い。もう一度寝ようとするがどうにも眠れない。なんとなく喉も渇い…
ウマ娘
その日を夢見るシンデレラ(クリギム)
シャンデリアが揺れるホールに彼女とふたりきり。少しぼやけた視界の中、ふたりで手を取り合い、夢見心地のままにステップを踏んでいた。 いつまでもこの時間が続けばいい。微睡の中、そう思っていた矢先、幸福な時間は終わりを告げた。『魔法が解ける前に…
ウマ娘
いつの日か(クリギム)
問 分たれた道は再度交わるか? 応 幾百億の夜を迎えても、お互いが脚を止めなければ、いつの日か
ウマ娘
やがて重なるアステリズム(クリギム・アヤトプ)
年が明けて、一月。例年より暖かな日が続いているが、不意に吹く風は冷たく、日が沈めばどこか肌寒い。夜ともなればぶるりと身体を震わせることもある。 だが星はこんなときにこそより一層美しく輝く。冴え冴えとした月が浮かぶ今宵の夜空には冬の星座が勢…
ウマ娘
お疲れ様エッグノッグ(クリギム)
弱々しい声だった。『……父さんの作った、温かいモクテルが飲みたい……』 十二月。 わずかに残っていた暖かさはすっかり消えて、朝は霜がおりていることもある。吹く風は冷え冷えとして、日差しは雲に覆われて遮られていることが多いため、寒さを強く感…
ウマ娘
空に輝く(アヤトプ)
夜空に浮かぶ星へ誓う私には眩しいあなた。 時に曇り、陰りながらも、それでもあなたは昇ってくる。 暗い夜に光る星はあなたに似ている。 何も見えない闇の中でもあなたは輝きを失くさない。
ウマ娘
乾杯(クリギム)
梅雨が明けて夏。近頃は早朝からすでに日差しは痛いほどに眩しく、じとりとした暑さもあいまって体力、気力を削っていく。トレーニングをする際には十分注意するよう教官たちからは呼び掛けられている。「水分、塩分を十分補給」 教官からの言葉を繰り返し…
ウマ娘
喰らい合いたいだろう?(クリギム)
教室の黒板には次のように書かれていた。『手を取り合って一緒に踊らないと出られない部屋♪』 なるほど、親交を深めるにはちょうどいいお題なのではないだろうか。与えられた時間は三分。時間は有限。他の生徒たちのためにも早くお題に取り組まなくては。…
ウマ娘
coffee(クリギム)
クラシックの一冠、日本ダービー。そこでふたりは互いに全力を出し合い、走り切った。その時間は二分半にもならないうちに終わりを告げた。熱気に包まれる中、皆と競い合った末に栄冠を手にした彼女はこちらに背中を向けていた。交わす言葉はない。伝えたい…
ウマ娘